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型に熱い鉄を流し込んで作る南部鉄瓶。
実際はどのように作っているのでしょうか?
40数工程にもおよぶ南部鉄瓶の製作の大筋をご説明いたします。

1.デザイン

古典的なデザイン?、独創的なもの?、形は?、色は?
などを考えて実物大の作図をします。

2.型の製作の準備

型を作るときに定規の役目をする木型を作ります。
この平たい木型をくるくる回転させ、狂いのない立体の型を作ります。

もともとは桂などの木製でしたが今では鉄板を使用。
それでも「木型」と呼ばれています。

3.型の製作と組立

型の原材料は主に土です。鉄を流し込む空間を作るために
鋳型(いがた)という外型の中に中子(なかご)という型をいれます。
鉄瓶の注ぎ口、蓋のつまみといった細部のための型は
種物(たねもの)と呼ばれ、別に作ります。


両端が鋳型、真ん中が中子。

鋳型の内側部分を熟練工各自の道具で模様を深押し、淡押し、
筋押し、平押し等、微妙な押し加減をしながら凸凹を表現します。




できた鋳型、中子、種物を組み立てて、表面を炭火で約800度から
1000度に焼き上げ、水分を完全に除去します。少しでも水分が残ると、
融けた鉄の流れが悪くなり失敗作になってしまいます。


4.鋳造 “吹き(ふき)”

いよいよ鉄を型に流し込みます。この日は“吹き(ふき)”と呼ばれます。
溶解炉の中に鉄、木炭、コークスを入れ、約1200度から1500度の鉄の“湯”を
作ります。この“湯”をひしゃくのような“とりべ”でひとつひとつ型に流し込みます。




5.型出し

吹き(鋳造)から一晩、真っ赤な液体だった鉄が固まります。
型を外し、鉄についた砂を落とします。この時点で鉄瓶は銀色です。



6.さび止め

南部鉄瓶の特徴である「かなけどめ(沸かしたお湯に鉄臭さをださないこと)」の
秘密がこの工程にあります。鋳造後一度冷めた鉄瓶をひっくり返し、内部を炭で
約800度から1000度に焼きます。すると磁性酸化被膜が形成され、さび止めの
役目をするのです。この火力が強いと穴空き鉄瓶に、低いとさびやすく
なってしまいます。



7.着色

この工程で重厚な黒に着色をします。鉄瓶を今度は約200度から300度に熱し、
漆を焼き付けます。そして“おはぐろ”とよばれる特殊な溶液と、煎茶を煮詰めた
液をいれた“茶汁”を刷毛でぬります。



8.つるつけ

鉄瓶本体とは別に作っておいた鉄瓶の取っ手部分のつるをとりつけます。



9.完成

駆け足で説明を致しましたが、ここで完成です。




使用時のお手入れについて

「どうしよう、鉄瓶内部がさびちゃった。茶色いものが付着している?!」

いえいえ、これはさびではありません。きっと鉄瓶を大事に使ってきてくれた

お客様の言葉でしょう。この茶色のものが“湯あか”で、味をまろやかにする

効果があります。汚れや有害な物質では 決してありません。この湯あかが

ついた状態を「鉄瓶がなれる」と言い、鉄瓶の本領発揮の時間になります。

鉄瓶がなれるまでは、使用後は水分を切りよく乾かして下さい。

洗うときは熱いお湯でO.K.で特別な洗剤は一切必要ありません。

お湯の色が変色してしまうような状態になった時はお茶を鉄瓶で2―3日

繰り返し炊くと直ります。この時も鉄錆がついたようにみえる内部を

こすって洗うようなことはしないで下さい。

鉄瓶は使い込む程、より良い品に成長します。

あなたの鉄瓶に成長させて下さい。

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